若手の頑張っているシェフが増えたのは良い傾向だ
由樹が働くアメリカのイヴェント会社IMGが主催するテイスト・オブ・パリが4日間開催される。一昨年5月、コロナでキャンセル。12月に延長されるが再度キャンセル。昨年9月にやっと再開催。 会場はそれまでグロン・パレだったが、大規模なリニューアル工事で昨年から左岸のグロン・パ レ・エフェメール(仮設のグラン・パレ)。エッフェル塔をバックにしたガラス張りの招待客用のサロンは明るくて、私はこちらの会場の方が好き。
テイストは11 時半から夜11時半までオープン。金曜日と土曜日の昼、食べるのが好きな友達と11時半オープンと同時に行き、2日共エッフェルタワー前の一番景色の良い席で4 時間余昼食。サロンで出す飲み物は、シャンパンがローラン・ペリエ、ワインは南西地方で、白はパシュラン・デゥ・ヴィック・ビル、赤はガイヤック。私は白が気に入り料理に合わせる。
今年は恒例の名前が知られた3つ星、2つ星の店が消え、残ったのはケイだけ。創作力に欠け、あまり努力しない有名シェフよりも、若手の頑張っているシェフが増えたのは良い傾向。私が長い付き合いをしているシェフが2人。アストランスはパスカル、クリストフの名前で出している。彼らとはアルページでセコンド、メートル・ドテルとして働いていたころからの付き合い。
2人は客席数が少なく、キッチンも小さいアストランスをオープン、内装を重視するこの時代のミッシェランには珍しく3つ星になる。しかし何年か前に理由なしに星を落とされ、彼らは昨年店を閉める。同じ16区の元ロービューションの店を買い、大改造を始める。それが終わるのを待つ間、パスカルはチェナという店で働いている。
昨年末、ここに家族で食事に行き、変わらない彼の料理を楽しむ。一 番先に彼らのスタンドに行くが、久しぶりに会うクリストフに、改造が思うようにいかずまた全部やり直し。今年春先にはオープンする予定だったが、早くても秋になりそうと苦労話を聞かされる。新しいプロジェクトが思うようにいかないの分かる。パスカルのメイン、豚バラ肉、バジリックを詰めたプチパンを取るが、どうってことないサンドイッチ。こういう場所で出す料理に慣れていないのを感じ、ガッカリする。
キッチンギャラリーのルドイユは、彼がサヴォワのブキニストにいた頃、小学生の子供達 とルドンの展覧会を見た後、昼食に行く。彼は子供達にアペリティフを出してくれ、彼らは初めての経験に大喜びしたのを覚えている。彼のアジアタッチのフージョン料理は、パスカルとは反対にイヴェントに適している。ポロ葱/キムチ、オオムギ/パセリ/グリーンカレー、 キューキューナン(パスタ)/イベリコ豚のラッケ/生姜 はどれも美味しい。何年か前、ルドイユが料理学校フェランディのスタンドに一日出した時も一番気に入ったが、彼は大衆に知られてなくて並ぶ人はいない。
今回一番オリジナルだったのは、売り上げを癌協会に寄付するスタンドの一人、グザヴィエ・パンスマン。スモークとクルスティアンの牛肉/燻製ジャガイモのピューレ/黄卵コンフィ/ ニンニク/ブナの木のフュメ。紙カップに入っていて、蓋を開けると煙が出てくる。絶妙な味で舌に残る。彼は昨年、我が家から遠くないヴェルサイユに店を出したので、是非食べに行こうと思う。
一番列が長かったのは女性シェフ、ジュスティーヌ・ピィルュゾのスタンド。テレビの料理 番組に出て知られる。笑顔の人懐っこいシェフで、エスペレット唐辛子とマントンのレモンで 味を付けたタコのシフォナードはシンプルで美味しい。 ロイヤル・モンソーのパティシェ、カンタン・ルシャの柑橘類と黒レモン/そば粉のビスキュ イ/黒レモンジェリー/レモンシャーベート/シッフォンチーズケーキ はオリジナルで最高。気に入ってもう一つと戻るが列が長く諦める。
その直後、パリに早朝 行かなければ行けなくなり、由樹夫妻を誘ってロイヤル・モンソーに朝食に行く。私はパリでこのホテルの朝食ビュッフェが一番好きだが、シェフパティシエが替わってオリジナルな料理が増えている。珍しい果物を使った小皿が美味しい。 日曜日、マティスはダミアンと、親子料理教室に参加する。出展者の食材を使った料理講習や、参加国の特産物を解説、試食させるスタンドもある。昨年は久しぶりのイヴェントで人が多く、入場制限。どこのスタンドも長蛇の列で思うように好きなシェフの料理が食べらない。今年は以前の入場数に戻り楽しめる。