食材を探しに行き、料理を作り、食卓を囲んで絶え間ないお喋りができる幸せ
外出禁止令が出て15日経つ。首相、関係閣僚が15日間の感染状況の推移、今後の措置を発表する。まだまだ感染者が多いので、食料品、生活必需品以外の店は開けず、最低でも今後15日間は現行の措置を維持する事になる。12月1日以降、緩和措置が取られた場合でも、現在閉鎖中の商店を開けるのみ。多くの人たちが集まる場所、レストラン、キャフェ、スポーツ施設などは閉鎖が続行される。今後もテレワークを推奨する。
フランス人にとって、クリスマスは一年で一番大切な行事。クリスマスプレゼントが買えるように、又商店にとって一年で一番稼ぎ月、12月は店を開けさせる。そしてクリスマス休暇を家族で祝えるようにする。しかし、忘年会、新年会で人が集まるのを避けるために、レストランは今年いっぱい締めたままにする。というのが政府の筋書きのようだ。店やレストランを閉めている経営者には補助、従業員には給料の84%支給を維持する。
由樹の会社はアメリカのイヴェント会社。アメリカ、イギリスで、かなりの解雇が行われるが、フランスは一年間政府の保証で解雇無しと、社会主義政策の恩恵を預かる。彼女もテレワークを余儀なくされている。
今回春の外出禁止令と違うのは、大学、専門学校以外は学校が開いていること。3月から夏のヴァカンス直前まで学校に行けなかった子供達にとって、学校に行けるのは何より。働いている人達には子供が学校に行くと、テレワークもやりやすい。子供たちが遊べる公園も開いている。
私達は天気のいい日には庭仕事。我が家は禁止令直前、庭師に来てもらい、道路側の枯れた垣根を取り除き、掘り起こした木を薪用に切ってもらう。私たちをアシスタントに、ジュリアンが薄汚れた道路側の壁にペンキを塗ってくれ、小屋の横に新しい薪を下に、乾いた薪を上に並べ替えてくれる。何年か前に大きくなり過ぎて切った桜の木の薪は乾いて、今年の冬暖炉に燃やす楽しみが増える。
家で過ごす一番の楽しみは食事。今回は朝市が開いているので嬉しい。森が近い友達がセップをくれたので、リゾットを作る。林に胡桃を拾いに行く。友達と見放された元果樹園にりんご狩りに行く。帆立貝が解禁になり、船から直送の帆立貝を買う。牡蠣の生産者が来る朝市に行き、牡蠣とムール貝を購入。隣の猟師が獲った猪肉を、元肉屋の隣人が捌いた肉が届く。この町に住む日本人の友達が仕事の帰り、中華の店に寄ったと豆腐、紫蘇を届けてくれる。
最も美味しかったのは、今年最後の庭のトマトに、プロヴァンスで買った乾燥トマト、ニンニク、庭の香草、ローズマリー、タイム、オレガノ、セイジをたっぷり入れて作ったトマトソース。イタリアで夏食べる、太陽を浴びて育ったトマトソースに負けないほど美味しかった。食材を探しに行き、料理を作り、食卓を囲んで絶え間ないお喋りに毎日があっという間に過ぎていく。