From PARIS

イタリア、チンクエ・テッレの旅

5つの村が寄り添う断崖の陸の孤島

愛好会の仲間35人で8日間イタリアを旅行する。ヨーロッパで一番古い大学の街、ボローニャに飛び、街を観光した後、バスで西に走る。東リヴィエラの海岸線にある高級住宅地、フォルテ・デ・マルミに7泊。ここから120キロ前後離れたチンコ・テッレと呼ばれる5つの村が寄り添う断崖を船と汽車で訪ねる。切り立つ断崖に小さな入江が見え隠れする。11世紀、要塞として築かれた陸の孤島で、村々の間を行き来するのは船のみだったため、独自の文化を育んできた往時の面影を残す。私が唯一行っていないイタリアの地方で、前々から行きたかった場所。パステルカラーの家家は、紺碧の海に映える。最初の日は船で2つの村を訪ね、翌日は汽車で3つの村を訪ねる。現在は5つの村を結ぶ列車が走っている。ヴァカンスの季節が終わり、観光客はフランス人の年金生活者がほとんど。 

 3日目はアンドレア・ボチェッリが港で行った野外コンサートをヴィデオで見てから、訪ねたかった場所、半島の先っぽ、ポルトフィロに船で行く。小さなエレガントな港町を歩いて、丘から紺碧の海に浮かぶ白い舟を眺める。

 大理石の町カッラーラも訪ねる。山全体が採石場となっていて、クレーンで大理石を積み、トラックは慣れた運転で行き合う。コロンナータに行き、有名なラルドを試食する。採石場で働く人達の大切な食糧源だったラルドは、豚の背脂に塩と香草をまぶして、大理石の桶に入れて長期熟成させる。脂が少しもしつこくなく、私は気に入って家族に食べさせるために買う。
 トスカーナにも足を伸ばし、中世の街並みにルネッサンスの建物が残るルッカを訪ねる。プッチーニの生誕地で、二度トスカーナから帰る途中、毎年夏行われるプッチーニフェスティヴァルに行く。浅利慶太演出の蝶々夫人、蝶々夫人は日本人できちんと着物を着こなし、コーラスの日本女性も留袖で、本物を見た印象が忘れられない。

20年近く毎年服部の研修旅行で、ローマからパリに行くバス旅行で寄ったピサは懐かしい場所。素晴らしいガイドに恵まれ、斜塔の歴史を学ぶ。自由時間に入った墓地のフレスコ画は素晴らしい。 
 この週は私たちが住むパリは雨ばかりで寒いが、私達が滞在したイタリアの気温は24、5度。雨の予報だったが、降られたのは一度だけ。毎日昼食はレストランだったが、この日はサンドイッチをホテルが用意し、昼食時間は自由行動。私達は親しい友達を誘ってレストランで食事。この時食べた仔蛸のブルスケッタ、小イカのフライ、マグロの叩きと赤玉葱は、今回の旅行で一番舌に残る食事になる。
土曜日に帰り、日曜の昼、子供達が食事に来る。土産の食材でイタリア料理。ラルド、まぐろのカルパッチョ。今年最後のトマトでパスタ。ボローニャで買った本場のパルメザンを振りかける。ペコリーノチーズにプーリアのワインでイタリアに乾杯。