From PARIS

ヴァカンス2020

ロワールとブルターニュ地方で家を借り家族揃って15日間過ごす

猛暑が終わり、急に涼しくなって初秋を感じる今日この頃。今年のヴァカンスは、ロワールとブルターニュ地方にそれぞれ一週間家を借り、家族揃って15日間過ごす。

ロワールにはダミアンが仕事のため最初の週末しか来ず、替りにロンドンに住む友達の娘に声をかける。私達が借家を探す時は、キッチンが広く、用具が揃っているのが条件。ヴァカンス地で、その地方の食材を使って料理をするのが私達の楽しみ。暑い夏は午前中出かけ、家に帰って昼食。午後はそれぞれが好きなことをする。夕方アペリティフを飲みながら庭でスポーツゲーム。ゆっくり夕食。孫たちが眠った後、クイズ式のゲームをすることもある。

ロワールは王族が狩猟をした場所で、13 世紀から16世紀にかけて建てられた城がたくさんある。初めてきた友達の娘を必見のシャンボール城に案内する。森を走っていると、突然白い壮大な城が見えて来る。レオナルド・ダ・ヴィンチが素案をまとめたルネッサンス様式建築。さすが人が多く、マスクをして、人を避けて見学する。

借家の隣村にある菌カーヴを見学。城や教会建築のために石を切り取った石切場が延々と続き、地下都市まで残っている。この広大な石切場を利用して菌を栽培している。菌と言えば、シャンピニオン・ド・パリが一番ポピュラー。ここでもそれが大半だったが、他のヨーロッパ国々で水を大量にやり促進栽培するシャンピニオンが出てきて、価格競争に勝てず倒産寸前まで行く。これを救ったのが椎茸。今は椎茸、プルロット、ピエ・ブルーなど高級菌を栽培している。ピエ・ブルーと呼ばれる足がブルーがかったキノコを2KG買い、ポワレ、リゾットとキノコ尽の食事もいい思い出になる。歯応えがあって美味しい。

私達が滞在した小さな村のワイナリーで、ワインを調達。暑い毎日だったので、ここの2種類のソーヴィニヨン種白ワインは夏の料理に合う。山羊のチーズも種類が多く、熟成度が違うのを楽しめる。ブルターニュは野性味の残る北西に家を借りる。元、コックとパティシェの若い夫婦が、大農家を買い、改造。広大な敷地に家が3軒。自分達も小さな家に住み、私達が借りたのは広い一軒家で明るいキッチンは広く使い易い。更に大きな家があり、民宿にして、頼まれば食事も出す。

雨の多い地方で、紫陽花が見事。またどこの街も村も夏の花がいっぱいで、瓦がグレイで白い家に映える。海岸線の荒々しい岩と澄み切った海がどこまでも続く。コロナウイルスの影響で、外国人観光客はいないが、フランス人が今年ヴァカンスに選んだトップは、ブルターニュと聞く。夏は気温が上がらず、雨が多く、ブルターニュを避ける人がいるが、猛暑と日照りの今年は理想的な天気。日中は日差しが強いが、夜は涼しく快適な一週間を過ごす。

ブルターニュといえば魚。ここで取れた魚を夜のうちにパリまで運び、翌朝ランジス市場から、フランス各地へ、更にヨーロッパ大都市に空輸する。潮の満ち引きに揉まれて育つ、プリプリしたブルーオマールはその代表だ。ダミアンが祖母のレシピーで、オマール、アメリカンを作るが美味しい。ワインは、ロワールから買ってきた白を合わせる。アルコール度が僅かのシードル、リンゴ酒もおいしい。玉ねぎの村、ロスコフ、豆のパンポル村もこの地方。実が付き始めた蕎麦畑もあるが、そば粉のギャレットをこの地方ではパン替りに食べる。周囲に広がる畑で一番多いのは豚の餌になるとうもろこし。

孫達を中心に、家族が食卓を囲み、絶え間ないお喋りに笑い。コロナウイルスを忘れる楽しいヴァカンスになる。