From PARIS

パスカル・バルボ

トップクラスの弟子が一番多いシェフ

由樹が仕事で、新しくオープンしたチェナというレストランにランチに行く。パスカル・バルボがシェフとして働いていると、びっくりニュース。

ポロネギ、ニシン、柑橘、
香草ソース フォワグラ

パスカルはアルページュでメートル・ドテルとして一緒に働いていたクリストフと、2000年にラストランスをオープン。狭いキッチンに24の客席。珍しい食材の組み合わせ、色彩豊かな盛り付け、完璧な火入れが注目される。それまでミッシェランが3つ星をつけなかったシンプルな内装ながら、2007年に3つ星になり、2018年まで維持する。東京のカンテサンスの岸田を始め、現在世界で活躍しているトップクラスの弟子が一番多いシェフだろう。2019年1月に、ミッシェランは不可解な決断をし、2つ星に落とす。

同時に外出禁止令が出て、パスカルはクリストフと新しい店で、再出発することになる。同じ16 区のロービューションが出した最初の店、ジャマンに決めるが、コロナ騒動で改造もオープンも遅れ、待つ間にチェナで働いている。

仔牛、根セロリのステーキ、グロゼイユ、ケッパー、甘酢ソース
梨とアーモンドタルト、梨のシャーベット

ラストランスは開店以来、私がピエール・ガニエールと並んで一番気に入り通った店。いつも気取らない料理とサーヴィスで心温まるひとときが過ごせる。由樹の話を聞いて急に彼の料理が食べたくなり、ジュリアンとダミアンの誕生日を祝うのに、先週家族揃って、ランチに出かける。ひと懐っこい笑顔のパスカルは少しも変わらない。49歳になるが、まだ青年の面影が残る。ラストランスの料理をビストロ風にした優しいほっとする料理に、暗い晩秋を忘れ、家族で幸せな午後を過ごす。