From PARIS

 ミシュランの星 2021

日本人パティシィエが大活躍している

2021年の新しい星が発表される。今年の新しい3つ星はマルセイユにあるアレキサンドル・マジィアのAM。シェフは44 才。父親の仕事でコンゴに生まれ、15歳までアフリカで育つ。フランスに移住し、プロのバスケットボール選手になるが、その後方向転換、料理学校に入る。名だたるシェフの元で修業した後、2014年に AMをオープン。2015年に1つ星、2019年に2つ星になる。昨年からコロナで店を閉めている間、ワゴンカーで持ち帰り料理を売っている。近くだったら一度買って食べたいところ。

「AM」のアレキサンドル・マジィア

2つ星は2軒。パリ、エレーヌ・ダローズのマルサン。南西地方のキュィジィニィエ一家に生まれたダローズは、女性シェフの活躍が目立つ中で、ピックと並んで先駆者の地位を占める。もう一軒はアルザスにあるセドリック・デッケルのラ・メリーズ。美しい自然の中で、夫が自然の恵みを受けた食材で料理を作り、妻が笑顔でサーヴィスする私好みの店だ。

「ラ・メリーズ」のセドリック・デッケル夫妻

 2つ星を取られた店がかなりある。パリにあるアトリエ・ロービューション2軒が一つ星に格下げ。2年前、理解出来ない3つ星から2つ星に落とされたアストランスは、移転のため星がなくなる。パリのシルヴェストル、ラベイユは閉店。また私が好きなオンフルールのサカナは、コンセプト変更のため、2つ星からビック・グルモンになる。料理はシンプルになり、気軽に行ける値段になったので、私には嬉しいニュース。ボルドーのベルナール・メグレはガニエールが料理を担当していたグロン・メゾンを閉める。メグレはシャトー・パップ・クレモンを始め、グロンクリュを4軒、フランスの地方、世界にワイナリーを持つ、ワイン業界のリーダー的存在。今年の特徴は、やはりコロナでレストランを閉める期間が長く、経営が難しくなり店を完全に閉めるケースが多い。

「モスケ」のモリー・サッコ

 新しい一つ星は54軒。ガニエールは、元ガヤの店をイタリアンレストラン、ピエロにし、すぐ近くに新しくオープンした魚料理ガヤが一つ星に返り咲く。ガニエールはこの2軒で持ち帰り料理を販売している。パリの新しい一つ星で私が行ってみたいのは、モリー・サッコのモスケ。彼は期待する若手シェフにも選ばれるが、アフリカタッチの料理で興味がある。服部の研修旅行で毎年行っていたプロヴァンスのフニエールの女性シェフ、レンヌ・サミュは娘ナディアに店を譲り、娘が母親と同じ一つ星を取る。パリにあるビストロの一軒に過ぎなかったシャトーブリアンが、外国のガイドブックの評価で世界のトップ20に数えられ、観光客が足を運ぶ。あまりの人気にミッシェランも星をつけるが、今年星を落とす。

「アクソン・ターブル・ボース」の杉山あゆみ

 デザートが評価された11軒に杉山あゆみのアクソン・ターブル・ボースが入る。現在は日本人パティシィエがレストランで、あるいは自分の店を持ち大活躍している。
 今年から緑の星に選ばれたレストランが33 軒ある。地元の季節のオーガニック食材を使った環境に優しい料理を出す店に与えられる。健康食を求める現代人のニーズに合わせた選択と言える。