2021年2月現在。イギリスはまだ3度目のロックダウンが続いている。不要不急の外出を制限するほか、学校も閉じて対面授業が休止されている状態だ。そんな中、バレンタインがやってきた。イギリスの人々はこのような状況でも、例年通りの楽しいイベントを忘れることはない。 バレンタイン当日、私は引越し先候補の内見に行くため“ノッティングヒル”に行った。クリスマスシーズン同様、このような状況の中でも、出来うる限りの行事を楽しもうという明るく前向きなロンドンの人々。そんな姿や街の様子にほっこりした1日だった。
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日本のバレンタインは女性が男性にチョコレートをあげるというのが一般的だが、イギリスでは男性が女性にプレゼントやチョコレート、花束やカード等をあげる習慣がある。日本のような会社の同僚や友達にあげる、義理チョコ文化はもちろん存在しない。また、イギリスにはバレンタインデーのおかえしという文化がないため、もちろんホワイトデーもない。
お花屋さん
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バレンタインに合わせてお花屋さんには、大胆なハートの飾りが!とってもかわいい。
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男性陣が一生懸命お花を選んでいる様子。日本人の私からすると、とても珍しい光景だ。
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大きなハート形のリース。店内にはハートのバルーンやゴージャスなお花がたくさん!
街では花束を持っている男性を多く見かけた。
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外ではバレンタイン仕様のデザートや温かい飲み物、薔薇、そして野菜や果物までもが販売されていた。
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ロックダウンの影響で閉店されているアンティークショップやカフェも、バレンタイン仕様になっていた。
melt
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ロンドンで人気の高級チョコレート屋さん「melt」。ほとんどのチョコレート屋さんは閉店していたが、ここのお店だけ営業していた。パッケージがモダンで可愛い!
DOUGHNUT TIME
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オーストラリア発祥の人気のドーナツ屋さん「DOUGHNUT TIME」がバレンタイン限定のドーナツを販売していた。ほとんど売り切れだったが、最後の一つとなった“ICE ICE BAE BAE”を購入してみた。“BAE BAE”の発音は“ベイ”で欧米のツイッターやSNSで頻繁に使われているネットスラングだそう。元々は「baby」や「babe」という言葉から来ており、意味は「彼氏」や「彼女」という、バレンタインにちなんだ名前が付けられていた。シュガーベースにチョコレート、ピーナッツバターが乗っているので甘ったるい味を想像していたが、思ったよりくどくなく、コーヒーと一緒に食べると絶妙な美味しさだった!
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ちなみにこちらがヴィーガンのドーナツ。とっても可愛くて、味は普通のドーナツとあまり変わらないのでヴィーガンじゃない人も楽しめる。
Cherry on
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普段はイタリアンレストランとして営業しているが、現在はデザート、パン、ドリンクを中心に販売している。バースデーケーキが人気なお店だそうだが、バレンタイン限定のデザートも凝っていてとてもかわいい!
当日はほとんどのベーカリーで、バレンタイン限定のケーキ・エクレア・カップケーキ・クッキー等が販売されていた。日本では見かけないような、遊び心のあるキュートなスイーツに惚れ惚れ。
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ちなみに、私のフラットメイトはバレンタイン前日にお気に入りのベーカリーでケーキを買ってくれた。日本でいう友チョコの様な感覚だろう。とても美味しかった!
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スーパーマーケット
どこのスーパーへ行っても、店内はバレンタイン仕様になっていた。
一際目立っていたのが、フラワーコーナー。
イギリスのスーパーでは、普段から当たり前のように花束が売っている。それもそのはず、イギリスは花束を贈るという習慣が日本に比べてかなり根付いているのだ。しかも日本よりもお手頃な値段で手に入る。私もロックダウン中は部屋を華やかにして気分を明るくするため、たまに3ポンド〜4ポンド(約450円〜600円)の花を購入して楽しんでいる。
バレンタイン仕様とだけあって、暖色や白のカラーが多い印象。スーパーとは思えない豊富な品揃えとクオリティーだ。
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M&Sのバレンタインディスプレイ。日本であれば、チョコレートがメインディスプレイになるが、イギリスはシャンパン・薔薇・カードだ。男性目線ということもあり、可愛らしいというだけではなくシックな雰囲気が漂っている。
バレンタインギフトコーナー。チョコレートやシャンパン、ぬいぐるみまでバレンタイン限定の商品がずらり。ちなみにこのピンクのブタさんは、ここM&Sのオリジナルキャラクター。
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特に、二つ組み合わせるとハートになるカップルに向けて作られたチョコレートが魅力的だった。
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スーパーの商品とは思えないような、とてもお洒落で洗練されたパッケージ。
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ハリーポッターのチョコレートはなんと半額!旅行客に人気な商品なため、コロナの影響で売れ残ってしまっているようだ。
カードコーナー!
イギリス人は世界で一番グリーティングカード好きな国とだけあって、バレンタインカードもバラエティに富んでいた。
既婚者用には夫(Husbund)用、妻(Wife)用があり、もちろんカップル同士で交換できるような内容のカードもある。また、カップルではないけれど好きな人にあげるカードで「I love you」や「Happy Valentine’s Day」が王道だが、「Be my Valentine」ー私のバレンタイン(=バレンタイン・デーの贈り物をする相手に選ばれた恋人・特別な人)になって下さいという告白用のカードもある。さらに、「From your Valentine または secret admirer」ーあなたを密かに慕う者よりといった、贈り主がわからない書き方をするものまであり、カードに個性があってとても面白い。
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私が気に入って、友人向けに買ったカードがこちら。カードの中にチョコレートが埋め込まれている。とても可愛い!!そして封筒には、“MY FAVORITE PERSON”の文字が。こちらは男性が気になった女性に贈るものだが、他のカードに比べるとメッセージがとてもシンプルなので、日本文化の友チョコのような感覚で送りやすいものだった。
日本と同じように、本気で付き合っているカップルにしか関係ない!というわけではなく、みんなそれぞれがそれぞれのバレンタインデーを思いっきり楽しむイギリス。そして、やはりイギリス人はイベント事が大好きで、ユーモアセンスにあふれている。
ロックダウン中であるのに、街中ハッピーな雰囲気が漂っていて幸せな気持ちになった。