From PARIS

ピカソ美術館

世界で最もピカソの作品を貯蔵している美術館がリニューアルオープン

ニューヨークに住む友達が、美術館は冬の長い国で流行ると言うのに、なるほどと頷く。太陽の少ない冬には、アートを見、心温まるひと時を過ごしたくなる。冬が暗いパリには180の美術館がある。私は11月の愛好会パリ散策にピカソ美術館を選ぶ。

美術館の建物はもともと塩税徴収官の邸宅であったことから、オテル・サレ(塩の館)と呼ばれる。17世紀に建設され、歴史的建造物として、1964年にパリ市に買収される。ピカソの作品を集めた美術館への転用が計画され、9年かけて改修工事、1985年に開館の運びとなる。キュビズム期の作品を中心に、絵画から彫刻まで5000点、世界で最もピカソの作品を貯蔵している美術館が、拡張、改築工事の5年間を経て、再オープンを果たす。充実した作品に加え、ピカソと関わりあるテーマで展覧会も開催する。今はアメリカの抽象絵画の巨匠ジャクソン・ポロックの作品を展示している。

ピカソの作品は青の時代、薔薇色の時代、キュビズム、シュルレアリズムと年代順に展示されているが、私達のレベルではピカソを理解するのは難しい。ピカソの作品を知り尽くしているガイドの説明を参加者全員熱心に聞き、彼が戦争の悲惨さを訴える作品に感動する。3階に渡る広大な美術館ながら、人が少なくゆっくり鑑賞できるのは何より。

美術館のすぐ側にあるビストロで昼食。予約はネットでするが、確認電話は通じない。20人で行って万が一席がないと困るので、ジュリアンに話したら、彼の仕事場がすぐ側なので友達と昼食に行ってくれる。電話は壊れているとの返事。ネット予約だけで、レストランが成り立つとはなんと言う時代だろうと思うが、行ってみて納得する。

近くで働いている人達が次々に来て席を求め断られている。グループで行く様な店では無いので、その人達に申し訳なく思う。 地中海料理と謳ったオリエンタルメニューから、各自好きな料理を選ぶ。私はバターナット、羊のチーズ、松の実を前菜に取るが気にいる。メインにハンバーガーを選ぶ。
ハンバーガーを食べる気になったのは随分久しぶり。肉と紫玉ねぎの組み合わせもソースも悪くないが、やはり私はソースで柔らかくなったパンは苦手。じゃがいもの代わりに薩摩芋のフライがついているのは良い。グラスワインを頼み、乾杯。楽しい一日が過ごせる。