セーヌ側の開会式はスタジアムとは違った
幸せなひとときをもたらす
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パリで100年ぶり、3度目のオリンピックが開催される。ストライキ、デモ大国フランスは、国民が常に不満を述べる。治安も悪くなり、警備の問題などで、オリンピック直前まで問題が絶えなかったが、私は心配をしていなかった。フランスはイヴェントとなると、いつも想像以上の成果を見せる国である。
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スポーツ、ガストロノミーのイヴェント会社に勤める由樹は、開会式当日、日本人客専用の船、ジュリアンはVIPを乗せたアラン・デュカスの船での仕事で、セーヌ川でのパレードを直接見る。私達はブルターニュに孫の面倒を見に行く。由樹達の家のすぐ側に別荘を持つ友達が孫娘と来て、一緒にテレビで開会式を見る。
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セーヌ川を中心とするパリの街全体が開会式の会場になる。セーヌ川を6キロ、85隻のボートで、選手団が雨にも関わらず笑顔で各国旗を振る姿は、選手にも観客にもスタジアムとは違った幸せなひとときをもたらす。知らない国がいっぱいあり、難民選手団まであって、平和な祭典は不安な世の中になった現在心温まる。2000人のミュージシャン、ダンサー、アーティストが表現したフランスの歴史、芸術はアートの国が誇れるもの。最後にセリーヌ・ディオンがエッフェル塔で歌った「愛の讃歌」に感動する。
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この一週間、テレビで競技観戦。フランスに住んで50年になる私は当然フランスを応援する。しかし日本が出て来ると母国を選ぶ。日本人が他種目に参加して好成績をあげているのは嬉しい。フランスはレオン・マルションという22歳の好青年が水泳で、他を引き離している。昨晩は友達を夕食に呼んでいたが、皆で彼が出る水泳決勝を見る。フランスでは初めて、彼の4つ目の金メダルに歓声を上げる。