From LONDON

2020デパートのXmasディスプレイ

ロンドンはエンターテイメントを感じる素敵な場所だ。

前回お見せしたMayfairのウィンドウディスプレイに続き、印象的だった3つのデパートのクリスマスディスプレイを紹介する。


Selfridges

オックスフォードストリートを歩いていると、誰もが目に入る巨大な黄色の文字 “LET’S CHANGE”。洗練された雰囲気もありつつ、常に流行の先端を追い求めている「セルフリッジズ」という人気のデパートのディスプレイだ。コロナ禍での「買い物の仕方を変えよう」というメッセージ性のあるスローガンが掲げられている。

ディスプレイの一部には、ツリーをバックにした“MAKE CHANGE NOW”というメッセージも。どちらのスローガンも、色のチョイスや魅せ方から「未来に向かって前向きに進もう!」という明るい呼びかけが伝わる。

クリスマスシーズンのセルフリッジズのショーウィンドウは、毎年話題になるほど手が込んでいる。今年も豪華かつ個性的なショーウィンドーが彩られた。セルフリッジズは111年間に渡って、毎年独創的なウィンドウディスプレイを作っている。今年はパンデミックで、今までよりも一目に触れる機会が少ないと分かっていながらも、ディスプレイデザインチームは例年同様気合いがはいっていたという。

各ウィンドウは、伝統的なものと新しいものを融合させたもので、特に今回はこれまでで最も環境に配慮したクリスマスデコレーションだったという。セルフリッジズは、持続可能性へ向けた取り組み“Project Earth”を長年行なっており、その精神に基づいて例年よりも多くのリサイクル素材を使用したそうだ。

 全てのディスプレイの共通点は、クリスマスの究極のシンボルである“クリスマスツリー”。引き撮影をしながら気づいたが、調理道具・カード・ぬいぐるみ・液晶等様々なモチーフを使ってツリーを表現している。特に調理道具をつるしてツリーにしたディスプレイは、斬新でユニーク!今年はパンデミックのため今までと違った祝い方をするだろうという考えのもと、新しいシーンを想定してデザインしたそうだ。

どれもリサイクル素材を多く使用しているとは思えないクオリティの高さ!テーマごとに世界観が徹底されていて、使用されている小道具1つ1つにもこだわりが感じられた。

Fortnum & Mason

英国王室御用達の高級紅茶ブランドとして世界的に有名だが、ここピカデリーサーカス本店では食材から香水・衣服・食器類など様々なものが販売されている。

エントランスは煌びやかでクリスマスらしく、入る前からワクワクする。

やかさと上品さのバランスが絶妙!キャンディケインで、さりげないクリスマス感を演出しているところも素敵だ。

フォートナム&メイソンといえば紅茶だが、もう一つの顔である“ハンパー”をモチーフにしたディスプレイ。“ハンパー”はバスケットのことをいうが、バスケットに、パンやチーズ・ローストチキンなどの食べ物やシャンパンなどの飲み物を詰めたギフトセットのことも“ハンパー”というらしい。一年間お世話になった人に感謝の気持ちを込めて贈るもので、「素敵なホリデーを!」という想いも込められた、イギリスの風習だそう。少しノスタルジックな要素もあり、シックでオシャレ! 色やレイアウトが洗練されている。

フォートナム&メイソン、オリジナルキャラクターをモチーフにした動くディスプレイ。個性のある動き方でクリスマスをお祝いする姿はとても可愛らしく、まるでおとぎ話の中から飛び出してきたかのような世界だった。ディスプレイを眺めるギャラリーには小さな子供連れのファミリーも多く見られ、子供の心も掴む楽しい演出となっていた。

期間限定で毎年オープンするクリスマスショップは豪華さとセンスの良さで、数あるクリスマスショップの中でも絶大な人気を誇っている。どの商品も洗練されていてオシャレで内装も可愛いので、特に買うものがなくても永遠に見ていられる。


Harrods

「世界一の百貨店」として知られる魅力あふれる老舗デパート。かつては王室御用達の指定を受けていたこともあり、世界各国からの著名人に愛され続けているデパートだ。

グリーン背景にド派手なゴールドのオブジェクトが吊るされた、とんでもなくインパクトのある個性的なディスプレイ。実際のコンセプトはわからないが、広い宇宙で遺跡や遺物の発掘をしている様子に見えるところから、大事な人のために使う価値のある時間と労力が感じられた。そこに現在の社会変化を投影させると、コロナウイルスによって崩れかけているこの世界を修復しようと試みるヒーローたち(キーワーカー)の姿にも見えてきた。こうして自由に想像を膨らませるのは楽しい。

ミュージカルの本場ロンドン。現在全ての劇場が封鎖されていて、もはやいつ楽しめるようになるのかもわからない状況だ。たくさん見に行きたい!と意気込んで渡英したミュージカル好きの私にとっては、悔しくてたまらない。そんな私の心を埋めてくれたのが、今回のクリスマスディスプレイだった。それぞれストーリーがあって、感情を動かしてくれて、まるで劇場に足を運んだかのような幸せな感覚になった。改めて、ロンドンは日常にエンターテイメントを感じることができる素敵な場所だなと実感した。