From PARIS

サンジェルマン・デ・プレ教会

6世紀のマリア像が優しい微笑みで私達を迎えてくれる

3月のパリ散策にサンジェルマン・デ・プレ教会を選ぶ。現存するパリで最古の教会は、6世紀のロマネスク様式、パリ王、キルデベルト一世が大修道院の付属教会として建造。サンドニ大聖堂に移動するまで、王家の墓として使われる。パリ司教ジェルマンが葬られ、彼の名前の教会になる。教会は9世紀に一度破壊されるが、10世紀~11世紀にかけて再建される。中心の塔は13世紀に建てられたゴシック様式。修道 院敷地内は革命で破壊されるが、17世紀当時の面影を残している。19世紀になると信仰の復活と共に、サン・ジェルマン・デ・プレ教会は再び教会として利用される様になる。そして、1821年より約30年間の大修復が行われる。世紀をまたいで、修復や 増改築が繰り替えされて来たため、ロマネスク様式やゴシック様式を始め、様々な建築様式が混在しているのが特徴。 

ガイドとの待ち合わせが午後なので、私は一行を韓国レストランに連れて行く。彼ら は、日本ブームで日本紛いの料理は知っているが、韓国料理は初めて。ブルゴリを注文。各自に肉野菜皿が出て来て、自分で焼きながら食べる新しい食べ方に興奮、全員大満足する。 

17世紀から知識階級が集い、当時のカフェ、レストランが残るビュシュ通りのパティ スリーで、マカロンを食べコーヒーを飲む。サンジェルマン大通りに並行するラベイ通 りのエレガントなアートギャラリー、高級ブティックを見ながら教会の裏に出る。前には キャフェ・マルゴがあり、20世紀文化活動の一代中心地になった場所だ。庭にはピカソの胸像があるが、外見は質素で目立たない教会。 

中に入ると眩しい程の鮮やかな内装。19世紀初頭に大規模な修復工事が行われた際に、リヨン生まれの画家イポリット・フランドランが手掛けた内部の装飾画が、昨年5年の修復を終えて鮮やかな色彩を取り戻す。パステルカラーで聖書の出来事を語る。6世紀のマリア像は優しい微笑みで私達を迎えてくれる。この教会の身廊は、 パリに現存する唯一のローマ時代の遺産でもある。 

世界に知られたノートルダム寺院とは対照的で、訪れる観光客も少ないが、フランスの歴史を見守って来たサンジェルマン・デ・プレ教会は歴史の詰まった見応えのある教会である。