From PARIS

ミッシェランの星 2023

ターブル・ドゥ・ラ・ベルジェリー/一つ星のランチ

ストラスブルグでセレモリーが行われ、ミッシェラン2023年が発売される。星付き全630軒のうち、3ツ星は29軒、2ツ星は75軒、1ツ星は526軒で、うち44軒が新たに星を獲得。パリとイル・ド・フランスでは、7つのレストランが一つ星になる。 

新しく3つ星を獲得したのは、大西洋岸の島、ノワールムティエ島、ラ・マリーヌのアレクサンドル・クイヨン。今年の大きなニュースは、2002年から20年以上3ツ星を維持し、フランスを代表するシェフでもあるギー・サヴォワが2ツ星に降格になったこと。彼の店は、昨年11月、ラ・リストで6年連続世界一のレストランに選ばれている。世代交代の犠牲になったと言える。2020年に3ツ星を獲得したラ・ロシェルのクリストファー・クータンソーも2つ星に格下げされる。

服部の研修旅行で入れていたノルマンディーの港町ル・アーブルにある家族経営の店ジャン-リュック・タルタランも、2つ星から一つ星に格下げされる。心温まる店だっただけに胸が痛む。3つ星を理由なく落とされたパスカル・バルボは、元ロービューションの店を改造、新しく出した店が一つ星になる。恐らく来年は2つ星になるだろう。

ミッシェラン発売は相変わらず料理界の人たちにとって大きなイヴェントながら、一 般の人たちは遠ざかる傾向にある。インターネットで簡単にレストランを探せるようになり、ガイドブックを買う人が少なくなったこと。またコロナ騒動以降、物価が高騰、星付きレストランに行かなくなった人たちも多い。

ターブル・ドゥ・ラ・ベルジェリー

私はフランスに住んでもうすぐ50年になるが、現在はレストランを選ぶに最高な時 代だと思う。2月にブルターニュ南、大西洋岸に車で出かけるが、行く途中で昼食レストランを探す。ミッシェランで一つ星の店をチェック。ちょうど3分の2走った所、アンジェの南、ロワールワインの産地に、ターブル・ドゥ・ラ・ベルジェリーを見つける。インターネットで料理写真を見ると、私好みの店だと分かる。以前は2-3冊のガイドブックで検討した後、食事に行き、がっかりすることがあったが、そういう無駄がなくなる。 

葡萄畑に囲まれ、20席のこじんまりした店は、シェフが料理、妻はワインを作っている。私たちはいつものようにランチメニューを選ぶ。アミューズ・ブーシュの鮭巻きはオ リジナル。前菜のイカ、レンズ豆、セロリソースは抜群の組み合わせで最高。イカが苦手なマークも美味しいと食べる。メインは私達が好きな地鶏と季節野菜。この地方の白、サヴニエールで食事。隣の老夫婦はグロンメニューを取っているが、私たちの方が当たり。現在私たちの口に一番合うのは、一つ星レベルのランチメニューだ。 

写真はターブル・ドゥ・ラ・ベルジェリーの39ユーロのランチメニュー 。