From LONDON

ポジティブになれるコロナ禍のXmasイルミネーション

華やかなイルミネーションが人々の心を照らしてくれている

ロンドンでは毎年のように11月中旬から新年まで素敵なクリスマスイルミネーションを見ることができる。コロナ禍で、さらに寒さも増して、陰鬱な気分になりがちなこの時期だが、華やかなイルミネーションが人々の心を照らしてくれている。イギリスでは、大通りはもちろん民家や公共施設、学校やオフィスに至るまで、あらゆる場所にイルミネーションが彩られる。例年と違うのは、楽しいモチーフだけでなく、医療現場や配達などで働く人たちへの感謝と賛美のメッセージを込めてコロナ仕様になっているところだ。

Bond Street

孔雀の羽をイメージした独特なイルミネーション。実はこちらBond Streetの歴史にちなんだ演出。Bond Streetは1700年代、”The Bond Street Loungers”=ぶらぶら街中を歩き回る青年達)と呼ばれる集団が集合する場所として有名だったそう。その集団は当時としては服装にもこだわりを持った若者達で、おしゃれな洋装で訪れたため、彼らはファッショニスタとして注目された。そんな彼らにちなんで”羽を広げ威嚇する”、”見せびらかす”という意味をもつ”Peacock”(”ピーコック”=孔雀)が名付けられ、イルミネーションのテーマにもなったとのこと。

South Molton Street

ボンド・ストリート駅からメイフェアを南東に伸びる、おしゃれな歩行者専用天国。個性的なブティックやファッションのお店、アンティークショップなどが並ぶ通りだ。そんなサウス・モルトン・ストリートには星を散りばめた巨大なアーチが華やいでいた。雨の日は地面に光が反射して、より一層大迫力になる。

アーチの前には、同じカラーのツリーが飾られていた。こちらもアーチのサイズに合わせて巨大。

Regent Street

エレガントな高級ショッピング街、リージェンツストリートのイルミネーションのテーマは「Spirit of Christmas」。翼を広げた大きな天使が何体も連なっていて道いっぱいに飾られている。翼の長さは17メートルもあり、圧巻!このイルミネーションは1954年デザインされたもので、2016年から使われているそうだ。

Oxford Street

毎年様々な企業とタイアップし、そのテーマに沿ってデザインされているが、2020年はSelfridgesという百貨店とタイアップしていた。コロナ禍の中、社会で貢献している人たちへの感謝の気持ちや、人々の勇気ある行動・親切心に敬意を表したものになっていた。「2020年のヒーロー」という文字やエッセンシャルワーカー、さらにパンデミック中に医療に従事した人々やボランティアの人々の名前が1週間ずつ表示される素敵なイルミネーションだった。

Carnaby Street

流行の最先端のファッションと音楽の中心地、カーナビーストリート。今年のテーマは、メッセージ性の高い 「Choose Love(愛のある選択を)」。通りの長さを走る一連のライトボックスからのピンクのネオンライトが降り注いでいた。この困難な年のロンドン市民の強さ、勇気、そして優しさに敬意を表して、各ボックスには前向きな言葉が込められている。見ているだけで、私たちの心が明るくポジティブになれる、なんとも感動的なライトだった。

通りを曲がると、ピンクで統一されたシンプルなライトアップが施されていた。

Tate Britain

テムズ川畔ミルバンク地区にある国立美術館、テート・ブリテン。インド系イギリス人アーティストのChila Kumari Burmanさんによって正面ファサードに施されていた。燦然と輝くこの個性的なイルミネーション・アートは多くの人々を魅了し、大変話題になっている。これはインドのお正月にあたる光のフェスティバル “Diwali” を祝ってのデザインだそう。近くで見るとヒンズー的な神話、インドの植民地時代の記憶、そしてボリウッドのような華やかさも散りばめられている。カラフルで楽しく、明るい気持ちにしてくれる。

HARRODS

世界的に有名なデパートで知られるハロッズ。ヨーロッパ独特の重厚感のある建物がイルミネーションに彩られることによって、ファンタジーの世界に迷い込んだかのような世界に一変。とにかく豪華で圧巻の外観であった。

このゴージャスな建物の横には、これまたインパクトのある外観のハロッズが。グリーン一色のライトアップは珍しくユニーク。

Fortnum & Mason

歴史ある英国王室御用達デパート、フォートナム&メイソン。アドベントカレンダーをコンセプトにしたと思われる、素敵なライトアップにうっとり。2020年の文字と、クリスマスらしい外観が魅力的だ。

▪︎ Connected by Light

https://canarywharf.com/whats-on/connected-by-light-dec-feb-2021/

2020年に向けたまったく新しいライトショーの“Connected by Light”。ソーシャルディスタンスを保つため、遠くからでも安全に楽しむできるアートワークをコンセプトに作られた。テーマは「平穏」と「この困難な時代の反映」。

ライトアーティストによる多くの作品がCanary Wharf に集結している。他のイルミネーションは基本的に1月末までだが、このインスタレーションは2月27日まで開催されている。

バーコードリーダーを読みとるとインスタレーションの紹介とマップが出てくるので非常にわかりやすい。

Canada Square Park

ネオンライトの輝くリボンに包まれたインスタレーション、Neon Tree。ダイナミックでエネルギッシュなパワーを与えてくれる個性的なライトアップだ。





Montgomery Square

テーマは「Murmuration(=低く続く不明瞭な音)」。デジタルプロセス、光、音を使用し、ダイナミックな視聴覚体験をもたらすサイトスペシフィック・アートワークだ。光と音の和音の波と移り変わる色彩が美しく、長時間この空間を楽しんだ。

パニックになったり、気持ちが落ち込んでしまってもおかしくない状況下のロンドンだが、人々は明るく前向きに生きている。それは、このイルミネーションのおかげかもしれない。心を落ち着かせたり、気持ちを奮い立たせる効果のある華やかな光が私たちの心を照らしてくれる。「コロナ禍を乗り切ろう!」というメッセージが街全体に光となって響き渡っているので、ポジティブに生き抜くことができている。