From PARIS

服部学園研修旅行

予期せぬ1週間、27人の忘れられない研修旅行となる

今年の冬は異常に雨が多く、各地で河が氾濫する。一ヶ月近い雨の暗い毎日でうんざりしていたところ、服部学園の一行を迎えた日から急に太陽が顔を出し、気温が上がって春の陽気になる。 
パリの滞在先はアパートホテル。15区の規制の無い地区にあり高いビル。私の部屋23階の窓から見える景色に、新しいパリを発見する。キッチンが付いていて、簡単な料理が作れていい。

翌朝から3日間、フランスで一番大きな料理学校フェランディで研修。全員揃って7時半にホテルを出、メトロで学校に行く。料理とパティスリーコースがそれぞれ12人。教師が見本を見せ、学生が自分のポジションで同じことをやる。同行した服部学園の教師は、研修担当教師のいいアシスタントになり、同時にうまく出来ない学生をサポートする。料理講習の昼食は午前中に作った各自の料理を自分が試食、私達の皿は教師が用意してくれる。伝統的なフランス料理をモダンに盛り付けた皿は食欲をそそる。

実習が終わった翌日はパリ観光。早朝で、修復されたノートルダム大聖堂に並ばず入れたのはラッキー。世界から集まった寄付金で、以前の内装を再現、同時にモダン美術を取り入れて興味深い。 
昼食はピエール ガニエール。ガニエールに行き始めて40年を超す。長年働いているスタッフが笑顔で迎えてくれる。シャンパンで乾杯。アミューズブーシュが次々に出てくる。舌平目、ホタテ貝の前菜はシャブリ。メインは仔牛。塊で焼いたのを見せ、キッチンに持ち帰り各自皿に盛り付けてサーヴィス。ソムリエが見つけて来たワインは南仏ボークルーズのしっかりした赤。ガニエールが各テーブルに挨拶に来て学生は大喜び。テーブルごとキッチンに案内してくれる。狭いキッチンに大勢のスタッフが働いているのに学生はびっくり。 

翌日バスでノルマンディ、ブルターニュに向かう。バスで移動する時、学生に料理、ワインをはじめ、フランスの食生活を中心にいろんな話をするのは私が大好きな時間。「酔っ払いは人間失格」と言った私の言葉を覚えていて、昼食の時ワインを控えていた学生がいて笑ってしまう。

 オンフルールに着いて、学生に町を案内する。その後自由行動で、簡単に食べられるムール貝やクレープの店を紹介する。私は3人の教師とノルマンディー、ブルターニュに行く時は必ず寄るサカナを予約。開店の12時ちょうどに入り、前菜とメインの2品を取り、40分で食べ、バスに戻り、ブルターニュに向かう。 

私達がサンマロに着いた時は青空。ホテルに荷物を置き、全員で城壁の上に上がり、片側に海、片側に旧市街を眺めながら半周する。バターのボルディエ、スパイスのローランジェ、老舗のクイニーアマンの店に行く。 
夕食は城壁の中にある何度も行っている夫婦の店。地元の食材を使ったクラシック料理で安心して食べられる。 

翌日はモン・サン・ミッシェルに行き、僧院を見学。この日は第一日曜日で入場は無料。少し霧っぽい朝だが、僧院も中から眺める景色も幻想的で却って良い。  
昼食は17世紀の館で夫婦がやっているホテルレストラン。この夫婦とも長い付き合いになる。ノルマンディの仔羊を暖炉で焼いてくれ、ノルマンディ風林檎タルトの郷土料理を満喫する。  

この日から戦争が始まり、2日後にドバイ経由で帰国する予定だった一行のフライトがキャンセルになる。ヨーロッパの航空会社はどこも満席。パリにさらに6泊して、27人が4つのグループに分かれ、ヨーロッパの町を経由して帰国することになる。不安げな学生に、珍しく天気のいいパリにさらに一週間滞在出来るとはラッキーだと元気付ける。 

パリの東にあるシンプルホテルに移動して一週間。引率教師と私はホテルのロビーに座りっぱなし。旅行社と連絡を取り、ネットで気軽な値段で食べれ全員で行けるレストランを探す。一度は予約を取らない中国料理の店に開店前に並んで全員入れる。さらにイタリア、アラブ、インド料理、ブラッスリーとパリのインターナショナル庶民料理に学生も喜んでくれる

予期しない一週間だったが、引率教師がLineで点呼を取り、学生もそれぞれ自分で責任を持って行動する。彼らがくれた嬉しい寄せ書きを読みながら、一人一人学生の顔を思い出す。忘れられない研修旅行になる。